NPO法人フレンドシップ
www.npo.tv
 
愛のチャリティー劇場「友情」
     
   コスモスの花の咲く頃、北海道から転校してきた島崎あゆみは、白血病に冒され、適合するドナー(骨髄提供者)が現れるのを待ちわびる日々を送っていた。  あゆみの転校したクラスには、小さい頃からいじめにあい、周囲から孤立していた森山信一がいた。  ある日、信一は脅すつもりで、あゆみにナイフを向けた。あゆみはひるむ事なく言った。「刺せば。死ぬ事なんか怖くない。どうせ私はあと一年か二年で死ぬんだから!」  あゆみが白血病に冒されている事を知って信一は動揺する。    
  年が明け、抗ガン剤の副作用で頭髪がすべて抜け落ちたあゆみは学校へ来なくなった。信一が、花と数冊のノートを持って見舞いに来た。勉強嫌いの信一が、あゆみの為にせっせと取ったノートである。だが、信一はあゆみの顔を見ると言葉を失って帰っていった。  
   中学最後の夏休み、担任の野本とクラスメイトは、あゆみを三浦三崎のキャンプに誘う計画をする。小康状態にあったあゆみは、参加はしたものの、頭髪がないのを気にして、部屋に閉じこもったままどこへも出かけようとしない。 そんなあゆみにお構いなしにクラスメイト達はどこかへ行ってしまった。あゆみが置き去りにされたと知って野本は激怒する。
 だが、陽気に帰ってきたクラスメイトを見て、あゆみも野本も絶句する。女の子も男の子も、全員がツルツル頭になっていたのだ。「これでみんな同じだよ。さあ、一緒に遊びに行こうよ!」
みんなは、あゆみの髪の毛が生えるまでずっと坊主頭でいるというのだ。あゆみの心がふるえた。その瞬間からクラスメイト達の中で“友情”が生まれた。
 その夜、民宿のテラスで信一と二人っきりになったあゆみは十四歳の淡い恋を語る。そして、流れ星に願いをかけるのだった。「生きたい」と。

その願いもむなしく、再びコスモスの花の咲く頃にあゆみは死を迎える。何ものにも代え難い“友情”に胸を抱き「みんな、ありがとう」とつぶやいて。
 
     
  掲載されている写真は、2004年9月7日江戸川公演時のものです。撮影:竹内正夫  
 

Copyright (C) 2004-2014 Friendship All Rights Reserved.